【問199】個人情報保護実務検定 練習問題|退職者による情報持ち出し
実務・関連法 問39/40難易度C(難しい)
問題文
J社を退職した元営業社員Zが、在職中にダウンロードした顧客名簿(取引先200社分の担当者名・連絡先)を、転職先で営業活動に利用していたことが判明した。この事案への対応として、最も適切なものはどれか。
- 1.退職後の元社員の行為であるため、J社は何ら責任を負わない
- 2.Zに対し民事上の差止め・損害賠償請求や刑事告訴を検討できる
- 3.営業情報は個人情報ではないため、J社は何も対応する必要がない
- 4.転職先の責任のみが問われ、J社およびZには責任が生じない
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌ 誤り
退職時の管理体制が不十分だった場合、J社の安全管理措置の不備として責任が問われ得ます。同時に元社員Zの行為に対する法的措置も可能です。
選択肢2 → ✅ 正しい
個人情報データベース等不正提供罪(法第174条)に加え、不正競争防止法上の営業秘密侵害罪、民事上の差止請求・損害賠償請求等が検討できます。J社は委員会報告も検討します。
選択肢3 → ❌ 誤り
取引先担当者の氏名・連絡先は個人情報に該当します。法人名と組み合わせれば個人情報データベース等となります。
選択肢4 → ❌ 誤り
情報を持ち出した本人(Z)が一義的な責任主体であり、転職先への提供は新たな違法行為の可能性があります。
背景知識
平成27年改正で新設された個人情報データベース等不正提供罪(現行法第174条)は、個人情報取扱事業者の従業者または従業者であった者が、業務に関して取り扱った個人情報データベース等を不正な利益を図る目的で提供・盗用したときに、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科すものです。退職時の対応として、(1)退職時の誓約書(守秘義務・データ持ち出し禁止)、(2)アクセス権の即時剥奪、(3)持ち出しデータの削除確認、(4)退職者面談での再確認、が重要です。並行して不正競争防止法の営業秘密保護も活用できます。
学習アドバイス
個人情報データベース等不正提供罪(法第174条)は退職者対応の中核条文です。条文番号と「不正な利益を図る目的」の主観要件を覚えましょう。
まとめ
- 個人情報DB等不正提供罪は元従業員も対象
- 退職時のアクセス権剥奪・誓約書が重要
- 不正競争防止法も並行活用可