【問41】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|売買契約と手付の効力
民法(債権・契約) 問1/36難易度A(易しい)
問題文
売買契約における手付に関する次の記述のうち、民法557条1項の規定として最も適切なものはどれか。
- 1.買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して契約を解除できる
- 2.買主が手付を交付した場合、売主は手付の倍額を償還しても契約を解除することはできない
- 3.手付は当然に違約手付としての性質を持ち、損害賠償請求権を排除する効果がある
- 4.手付による解除をした場合、解除した者は相手方に対し損害賠償を請求できる
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
民法557条1項本文の規定そのものです。手付を交付した買主は、相手方(売主)が履行に着手するまでであれば手付を放棄して契約を解除できます(解約手付)。
選択肢2 → ❌誤り
民法557条1項は、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約を解除できると規定しています。
選択肢3 → ❌誤り
民法557条1項は手付を解約手付と推定しており、当然に違約手付になるわけではありません。当事者の合意により違約手付とすることは可能です。
選択肢4 → ❌誤り
民法557条2項は、手付解除の場合557条による解除には債務不履行に基づく損害賠償の規定(415条)は適用されないと定めています。
背景知識
手付には証約手付・解約手付・違約手付の三種類があり、当事者の合意がない限り解約手付と推定されます(民法557条1項)。2020年改正民法では「履行に着手」の文言が「相手方が契約の履行に着手するまで」と明確化され、自分が着手しても相手方が未着手であれば解除可能であることが明示されました。手付倍返しの場合、現実の提供が必要で口頭の提供では不十分とされます。
学習アドバイス
解約手付は3級頻出論点です。「相手方が履行に着手するまで」「倍額の現実の提供」というキーフレーズを正確に覚え、自分が履行に着手しただけでは解除できなくなるわけではない点に注意してください。
まとめ
- 手付は解約手付と推定される(民法557条1項)
- 買主は手付放棄、売主は手付倍額の現実提供で解除可能
- 相手方が履行に着手するまで解除権を行使できる